3社間ファクタリングのメリットとデメリット

ファクタリング取引では『2社間ファクタリング』『3社間ファクタリング』の2種類の取引方法があり、ファクタリング会社と利用者の2社間で行うものを2社間ファクタリングといい、それに利用者の取引業者(売掛先)が加わるものを3社間ファクタリングといいます。ファクタリングの利用を検討する際に『2社間と3社間、どちらの取引方法が良いのだろう』と疑問に思う方も多いでしょう。そこで今回はファクタリング取引を検討しているのであれば理解しておくべき『3社間ファクタリング』について詳しく解説していきます。

【ファクタリングとは】

企業同士の間で発生した売上(売掛金)が支払われる権利である『売掛債権』をファクタリング会社に売却することで売上が本来支払われる期限よりも前に手元に資金として入る仕組みです。銀行などの金融機関の融資と比較して審査基準が寛容であり、場合によっては即日で現金を入手することができるため、資金繰りなどに苦しむ中小企業を中心として近年、利用する企業が増えている傾向にあります。

【3社間ファクタリングのしくみ】

3社間ファクタリングとは図のように

・事業者(利用者)

・ファクタリング会社

・事業者(利用者)の取引先(売掛先)

の3社間でファクタリング契約を行うことをいいます。流れとしては図の通りであり、

『企業間で売上(売掛金)が発生する』→『ファクタリング会社と契約する』→『債権譲渡通知・承諾』→『取引先(売掛先)とファクタリング会社の契約』→『ファクタリング会社から資金が支払われる』→『支払い期日に取引先(売掛先)から売上(売掛金)が支払われる』のようになります。

【3社間ファクタリングのメリット】

▶手数料が割安になる

2社間ファクタリングの手数料の相場は8%~18%なのに対し、3社間ファクタリングの手数料は2%~9%となっています。理由としては3社間ファクタリングの場合は取引先(売掛先)の承諾を得て取引を行っており、

・売掛債権の信用性が高いこと

・支払い期日に取引先(売掛先)からファクタリング会社に直接資金が振り込まれること

からファクタリング会社にとって、資金の未回収リスクが低いためです。

▶対応している売掛債権の幅が広い

ファクタリング会社にもよりますが、未回収リスクの高い2社間ファクタリングの場合、例えば『利用上限は○○円まで』『支払期限は○○日まで』などというように利用するためにいくつかの条件を提示される場合があります。一方、3社間ファクタリングの場合は未回収リスクがぐっと低くなるため、比較的寛容な条件で売掛債権を買い取ってくれます。

▶審査が通りやすい

先ほどから述べている通り、2社間ファクタリングに比べると3社間ファクタリングの場合はファクタリング会社にとって資金の未回収リスクが低いと言えます。そのため、取引先(売掛先)の信用力に問題がないことを証明できれば、自社の経営状況の良し悪しに関わらず、審査を通過する可能性が高くなります。

▶利用者の売掛金回収の手間がない

取引先(売掛先)から直接ファクタリング会社に売掛金が送金されるため、利用者がうっかり本来ファクタリング会社に支払うはずの資金を使ってしまうといったことの防止や、送金の手間を省くことができます。

【3社間ファクタリングのデメリット】

▶資金調達のスピードが遅い

ファクタリングの魅力はなんといっても『資金調達のスピードの速さ』で、2社間ファクタリングの場合は最短で数時間、即日入金などとかなりスピーディーな対応が可能となりますが、3社間ファクタリングの場合はその仕組み上、取引先(売掛先)の承諾を得る必要があるため、2社間ファクタリングよりも入金までに時間を要するというデメリットがあります。取引先(売掛先)の承諾や契約書の作成などを行うと最短でも約1週間、長くて2週間ほど入金までにかかってしまうケースもあるでしょう。そのため、なるべく最短で資金調達をしなければならない場合には不向きな契約方法と言えます。

▶ファクタリングの利用を取引先に知られてしまう

3社間ファクタリングは取引先(売掛先)に債権譲渡通知が届き、その承諾や支払いに関する手続き・やりとりを取引先(売掛先)とファクタリング会社が直接行うしくみです。そのため、必然的にファクタリングの利用状況を取引先に知られることになってしまいます。場合によっては利用者の経営状況に関して不信感を抱かせてしまい、今後の取引に悪影響を及ぼすことにもなりかねない為、3社間ファクタリングを利用する際は取引先との信用悪化のリスクについて十分に検討する必要があるでしょう。

【3社間ファクタリングまとめ】

3社間ファクタリングは

・利用手数料をなるべく抑えたい

・取引先にファクタリングの利用を知られても問題がない

・資金調達までに時間的余裕がある

などの状況にある企業にオススメの資金調達方法です。3社間ファクタリングの場合、取引先(売掛先)の承諾を得る必要があるため、日頃から取引先(売掛先)と良好な関係を構築しておくことが大切になります。2社間ファクタリング、3社間ファクタリングそれぞれの特性を理解し上手く活用することで、資金調達を潤滑に行い、より健全な会社経営を目指しましょう。