経営者の中には『できるだけ早く資金調達をしたいけど、色々な手続きなどの手間がかかり、なかなか思うようにいかない』というお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。ファクタリングとは近年注目を集めている資金調達方法のひとつで、銀行融資などと比較すると時短かつ、審査が厳しくないのが特徴です。しかし、一口にファクタリングと言っても様々な種類があり、やや複雑な内容となっています。今回はファクタリングについてなるべく簡単かつ分かりやすく紹介していこうと思います。
【ファクタリングとは】
▶ファクタリングの定義
簡単に言うと会社の持っている『売掛債権』をファクタリング会社に売却し、その債権を担保に資金調達を行う方法のことです。金融庁によれば『一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。』と定義されています。また、国内および国際売掛金のファクタリングおよびファイナンスのグローバル代表機関であるFCIの調査によれば、世界的にみてもファクタリングの利用数は上昇傾向であり、今後、ファクタリングの需要はますます増え、利用数や認知度は上がっていくと考えられるでしょう。
【売掛債権とは】
簡単にいうと『顧客に売上代金を請求する権利』のことです。会社と顧客の間で生まれた『売上金』は本来、数か月後に会社側に振り込まれるのが通常の流れです。ファクタリング会社を利用して資金調達を行う場合、この売上金を請求する権利(売掛債権)をファクタリング会社に売ることで、この売上金を担保として資金調達をすることができます。
【ファクタリングの流れ】
業界によっては売上が入金されるまでの期間が長く、一時的に資金繰りが苦しくなることも珍しくないでしょう。そんな時、ファクタリングを利用すれば、予定よりも1~3か月早く資金調達をすることが可能になります。
ファクタリングの流れを簡単に説明すると…
自社はまだ受け取っていない売上の『売掛債権』を発注書や請求書などをもとに証明し、ファクタリング会社に売却。それをもとにファクタリング会社が資金を提供します。
【ファクタリングを使うメリット】
▶業績が悪くても利用可能
銀行の融資やローンの場合は会社の業績は重要視され、業績が悪いと審査で落とされる可能性が高いのですが、ファクタリングの場合は事業主よりも代金を支払う予定の取引先の信用性を重視するため、事業主の業績が悪い場合でも利用することができる場合が多いでしょう。
▶保証人が必要ない
本来、銀行などからの融資であれば事業主から出資額を回収できないリスクを回避するために保証人が必要となるケースが主ですが、ファクタリングの場合、売掛債権を信用しているため、保証人などは必要ありません。
▶審査に通りやすい
一般的な銀行の融資であれば『事業主の属性』『企業情報』『返済能力の有無』『書類』『保証人や担保』など審査項目が多岐に渡り、時間も要するケースがほとんどですが、ファクタリングの場合、業績の項目でも話した通り、重要視しているのは取引先(売掛先)の信用性です。そのため、会社の規模が小さかったり、業績が悪かったとしても審査に通りやすいことがほとんどです。
▶負債が増えない
負債というのは将来返ささなければならない『マイナスのお金』のこと。ファクタリングの場合、会社に数か月後に入金される予定額を担保に資金調達をするという仕組みであるため、負債が増えるということはありません。
▶未回収でも返済の必要がない
ファクタリングの場合、『償還請求権』というものがありません。そのため、万が一取引先(売掛先)が倒産し、売掛金を回収できない場合でも借り入れをした事業主に対し、返済義務は生じないため、銀行融資などと比較すると安心してお金を借りることが出来ます。
▶スピーディーに資金調達ができる
複雑な審査がないため、銀行などの融資と比較し、かなり早く資金を手にすることが可能です。事業所とファクタリング会社の2社間の取引の場合には、最短即日での現金化も珍しくありません。
【ファクタリングを使うデメリット】
▶手数料が高い
ファクタリング会社から資金提供を受ける際、どの会社を利用しても『手数料』が生じます。理由としては、その手数料がファクタリング会社の利益となるからです。この手数料は一般的な銀行融資や医療報酬担保ローンなどの年利と比較するとかなり割高となります。会社やファクタリングの種類によっても手数料は異なるので、借入をする前に様々な会社を比較検討する必要があるでしょう。
▶ファクタリングを利用していることが取引先に知られる可能性がある
ファクタリングには取引先に知られることのない『2社間のファクタリング』と取引先の合意のもとに契約を行う『3社間のファクタリング』があります。一般的に2社間であれば取引先に利用を知られることはほとんどないのですが、『支払い期限の超過』『社内のだれかが誤って話してしまう』などの理由から取引先に知られてしまう可能性はゼロではありません。
▶偽装ファクタリングを行う業者が存在する
ファクタリング業者の中には偽装ファクタリングを行うような悪徳業者も存在します。『手数料が異常に高い』『売掛金よりかなり少ない額しか借り入れができない』など気になる点がある場合は必ず他のファクタリング会社と比較するようにしましょう。
【ファクタリングを使う際の注意点】
他の方法と比較して『資金調達がしやすい』ためファクタリングは事業主にとって、会社を運営していくうえで強い味方となってくれます。一方で少なからずデメリットも存在します。利用する前は『ファクタリングが絶対に必要なのか』を検討した上で、『複数のファクタリング会社を比較』し、一番自社に合うファクタリング会社に依頼するようにしましょう。