ファクタリングは資金調達のひとつとして、近年利用者数が増加傾向にあります。ファクタリングには『買取型』と『保証型』の２種類があり、一般的に資金調達方法として使われているのは『買取型』です。「買取型についてはなんとなく知っているけれど、保証型ってそもそもどんなサービス？」と保証型について理解していない人も多いのではないでしょうか。ということで今回はファクタリングサービスの『保証型』について、『買取型と保証型の違い』、保証型ファクタリングのメリットやデメリットについて解説していこうと思います。
【保証型ファクタリングとは】
保証型ファクタリングは取引先(売掛先)から売上を回収できなくなった時に備えることができる「保険」のようなファクタリングサービスです。例えば、売り上げ依存度が高い会社で倒産されたら自社の経営状況に影響を与えるような取引や海外企業との取引の際など、売上を回収できなければ自社が倒産するリスクが高い時や売上を本当に回収できるか不安な時に活用されるサービスとなります。
【買取型ファクタリングとの違い】
買取型の場合は売掛債権をファクタリング会社に売却することで、当初の支払い期日より前に売掛債権を現金化し、早期に資金調達ができることがメリットのサービスです。取引先との支払い期日を待たずして、額面から手数料を引いた現金を得ることが可能です。一方保証型の場合は、取引先による代金の支払いをファクタリング会社に保証してもらうことで、売掛債権の回収不能リスクを軽減することがメリットのサービスです。利用者はファクタリング会社に保証料を支払い、万が一取引先の会社が倒産して売上が回収できなくなった場合でも、ファクタリング会社と契約した保証額までの現金を受け取ることができます。２つのサービスはファクタリングという１つのサービスではありますが、サービス内容は全く別ものであり、利用する場面も異なると言えます。
【保証型ファクタリングを利用する流れ】
- 利用者がファクタリング会社に保証を依頼
- ファクタリング会社が取引先の与信調査を実施
- 与信調査の結果で問題なしと判断されたら契約
- 売掛金が未回収になった場合に保証
- 利用者がファクタリング会社に保証を依頼
まずは利用できるファクタリング会社を選びます。保証型ファクタリングのサービスを提供しているところは基本的には大手ファクタリング会社となります。
▶ファクタリング会社が取引先の与信調査を実施/契約
保証を希望する売掛先の信用力をファクタリング会社が調査します。この審査で問題がないと判断されたら『保証限度額』と『保証料』が通知されます。なお、取引先にこれらを利用している事実が通知されることはありません。
▶売掛金が未回収になった場合に保証
保証ファクタリングによる保証開始後、売掛金の支払いが問題なく行われたら、支払いが完了した時点で契約は終了となります。しかし、取引先(売掛先)が倒産したなどで支払いが行われなかった場合にはファクタリング会社から保証金が支払われます。
【保証型ファクタリングのメリット】
▶取引先の倒産リスクに備えられる
会社の売上を頼っている大口の取引先が倒産した時には、自社の経営まで危うい状況に陥る可能性が高くなります。しかし、保証型ファクタリングを利用すれば、取引先が倒産した場合においても保証限度額の範囲内で売上の回収が可能となり、貸倒れリスクを軽減することが可能になります。
▶与信管理の簡略化が図れる
保証型ファクタリングを利用することで、取引き先の審査をしてもらえるため、自社の業務負担が軽減します。取引先倒産後の債権管理もファクタリング会社が行うため、それらに関する業務負担も軽減できます。
【保証型ファクタリングのデメリット】
▶保証料がかかる
売掛金の回収が無事に行えた場合でも『保証料』の返還はありません。そのため、問題なく資金回収が行われた場合には『支払った保証料は無駄になる』とも考えられます。しかし、売掛金未回収となった場合のダメージは大きいため、万が一の時に備えたい場合は利用を検討したほうが良いでしょう。保証料の相場は1％～4％程度です。
▶取引先の信用力によっては利用ができない
そもそも倒産リスクが明らかに高い場合にはファクタリング会社も損する契約はしたくない為、保証型ファクタリングの契約を結ぶことができない可能性が高くなります。ファクタリング会社に保証を断られるということは『取引先の経営状況がかなり悪い』ということですので、取引内容や取引量を見直す行動をとった方が良いでしょう。また、保証が無事に開始されても、取引先(売掛先)の信用力が落ちたと判断された場合には保証が廃止されると通知が来ることもあるため、その点も留意しておく必要があります。
▶保証型ファクタリングを利用できるファクタリング会社は限られている
保証型ファクタリングは、万が一取引先(売掛先)から売掛債権が回収できなかった場合に高い支払い能力が必要であり、またそれを未然に防ぐための高い調査能力も必要となります。そのため、このサービスを提供できるファクタリング会社は銀行や信販会社などを系列として大手ファクタリング会社となります。
【まとめ】
売掛金の貸倒れは会社の経営状況に大きな影響を及ぼします。そのリスクをどうしても回避したい場合には『保証型ファクタリング』で売掛金の貸し倒れリスクを軽減することができます。しかし、あまりにも信用力が乏しい取引先の場合には保証型ファクタリングの利用自体を断れる可能性もゼロではありません。そういった場合にはその取引先との契約を見直すなどすぐに会社を守るための行動をすることが必要となるでしょう。