すでに売上は確定しているがその売上(売掛金)が入金されるのは数か月先…。支払いが重なり、数か月先の入金まで待てない…。このように手元のキャッシュが足りず、資金繰りに行き詰まるような経験はありませんか?資金調達方法として一般的なものは銀行など金融機関からの『融資』。しかしこれらの利用には審査に時間がかかったり、審査自体が厳しくそもそも融資が受けられなかったりと、状況によっては最適な手段と言えない場合があります。そこで、今回はそのような時に誰でも手軽に資金調達ができる『ファクタリング』について解説していこうと思います。
【ファクタリングとは】
ファクタリングとは自社が保有する『売掛債権』(すでに確定している売上を取引先から入金してもらえる権利)をファクタリング会社に買い取りしてもらうことで、売上の支払期日前に現金化し、資金を調達できるサービスのことです。最大の特徴は『審査の柔軟性の高さ』。取引先(売上を支払う会社)の信用力が重視されるため、自社の経営状況は関係ありません。また、この信用度が確認できれば基本的には即日でサービスを受けることができ、オンライン上のサービスでは申し込んだその日のうちに現金が振り込まれるといったスピーディーな対応をしてくれるファクタリング会社も存在します。
【ファクタリングの仕組み】
ファクタリングは大きく分けて2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。
▶2社間ファクタリング
2社間ファクタリングのポイントは契約の当事者が『ファクタリング会社』と『事業者(申し込み者)』の2社のみであること。取引先(売掛先)に売掛債権の売却事実を知られないこと、ファクタリングの中でもかなりスピーディーに資金調達ができることがメリットですが、手数料の相場が8%~18%とやや高めに設定されています。この契約の場合、売掛金の回収はファクタリング会社に代わって事業者が行います。理由としては取引先にファクタリングを利用している事実を知られないためです。しかしこの場合、事業者が回収したお金をファクタリング会社に入金せず、何かの支払いに使用したりするといった可能性もゼロではありません。2社間ファクタリングにおいてはこのようなリスクもあるため、手数料は他のサービスと比較して割高となっています。
▶3社間ファクタリング
3社間ファクタリングのポイントは契約が『ファクタリング会社』と『事業者(申し込み者)』と『取引先(売掛先)』の3社間であること。契約成立のためには『取引先(売掛先)』の承諾も必要になるため、入金までに時間がかかる場合もあります。ただし、2社間と比べると手数料は2%~9%と低めに抑えることができます。この場合、売掛金は支払期日が来たら、取引先からファクタリング会社へ直接支払われることになります。
【ファクタリングを利用するメリット6選】
①短期間で資金調達ができる
銀行など金融機関に融資を申し込んだ場合、やや複雑な審査となり、手元に現金が入るまでにかなり時間を要します。そのため、急な出費をカバーしたい時には不向きです。ファクタリングでも取引先(売掛先)の信用度を調査するといった審査はありますが、金融機関を利用した融資と比較すると現金化までのスピードが速く、急な入用にもすぐに対応が可能です。
②自社の業績が悪くても利用できる
銀行など金融機関の融資では自社の経営状況や信用力が問われるため、起業したばかりであったり、赤字経営の会社などの場合は審査に落ちてしまう可能性があります。一方ファクタリングの場合は、売掛金を支払うのは自社ではなく取引先の会社です。そのため、そちらの会社の信用力が重要視され、自社の業績に関係なく資金調達を行うことが可能となります。
③保証人や担保がいらない
銀行などの融資の場合は、貸し倒れリスクを回避するために保証人や担保が必要となります。一方でファクタリングの場合は貸し借りではなく、あくまで売掛債権の『売却』となるため、法律上『保証人や担保』を立てることはできません。これらが必要ないため、一般的な金融機関の融資よりもスムーズかつローリスクで利用できるのはファクタリングの強みです。
④信用情報に影響しない
ファクタリングはお金の借入ではないため、信用情報に影響を及ぼすことはありません。そのため、ファクタリング後に銀行などの融資を受ける場合でも、それらの審査に影響を与えないのもメリットです。
⑤売掛先の倒産に備えることができる
売掛金を受け取らないまま、取引先が倒産した場合、そのお金を回収することは難しいですが、売掛債権を先にファクタリング会社に買い取りしてもらうことでそのリスクを回避することが可能です。ファクタリングの場合、『償還請求権なし』の契約を結ぶため、取引先が倒産した場合、債券の回収が不可能となってもその責任を負う必要もありません。
⑥借金が増えない
ファクタリングは『売掛債権』といって、すでに売上がある状態でその売上を貰う権利をファクタリング会社に売却することでお金を得るシステムです。そのため、ファクタリング会社から得たお金は『借入(借金)』ではありません。
【ファクタリング利用時の注意点】
▶手数料の相場を確認しよう
ファクタリングはスムーズに資金調達ができることがメリットですが、その一方で他の資金調達方法と比較して、『手数料が高い』という注意点があります。この手数料は法律で定められていないため、中には法外な手数料であったり、手数料を安くして諸経費や雑費といった形で代金を上乗せされる場合もあります。契約する際にはいくつかのファクタリング会社を比較し、手数料などの相場観を確かめるようにしましょう。
▶償還請求権のありなしを確認しよう
本来、ファクタリングの場合であれば『償還請求権』はありません。そのため、債券の未回収リスクを負う必要はありませんが、悪徳業者の場合、実は償還請求権がありの契約になってしまっているというようなケースもあります。この契約の場合、債券が未回収となった際に、支払いを請求されてしまい、高い手数料を払ったにもかかわらず、お金も返さなくてはいけないというように2重で負担がかかることとなります。契約をする際は『償還請求権のありなし』については必ず確認するようにしてください。