ファクタリングとは将来回収予定の売掛金や未回収金などの債権を業者に買い取ってもらい、早期に現金化するサービスのことです。資金繰りが厳しい中小企業やベンチャー企業を中心にファクタリングに興味を持つ人も少なくないのではないでしょうか。今回は資金調達として最近メジャーとなってきたファクタリングのメリット・デメリットやファクタリング会社を選ぶ際の注意点などについて詳しく解説していきます。
【ファクタリングとは】
ファクタリングとは企業が持つ「売掛金(売掛債権)」をファクタリング会社に買い取ってもらい、それをもとに資金を提供してもらう資金調達サービスのことです。取引先の企業(売掛先)からの支払期日よりも早く売掛金を現金化することができます。また、銀行などの融資と比較すると、審査などの手続きも簡潔なため、かなりスピーディーに資金調達することができます。売掛金は本来、会社の売り上げとして数か月後に会社に入金されるものではありますが、売上発生から入金までにどうしても時間がかかってしまうため、その間の支払いなどに使うことができません。ファクタリングを利用することで『売掛金の入金前の支払いが重なったが手元に資金がなくて払えない』『回収前に取引先が倒産して貸倒れになる』といった資金不足の解消や資金繰りが悪化するリスクを軽減することが出来るでしょう。
【ファクタリングのメリット】
- 迅速な資金調達が可能
- 借金を増やさずに資金繰りができる
- 赤字など会社の業績にとらわれずに資金調達ができる
- 保証人や担保が不要
- 回収不能になっても返金義務が生じない
▶迅速な資金調達が可能
ファクタリングの大きなメリットは売掛金を支払期日前に現金化できることです。売掛債権を譲渡(売却)すれば、支払日を待たずに早期現金化し、資金不足の解消・資金繰りの改善が図れます。例えとしては、売上が伸びる一方で臨時の人件費・外注費など支出が増える繁忙期において、これらの支払いが売上金の入金よりも先に来る場合にファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらい、重なった出費に対応できるようになります。翌月の売上金(売掛債権で売った分)はファクタリング会社が回収するため、それ以降の資金に余剰があることを前提で短期間の資金不足を補う使い方が理想的です。
▶借金を増やさずに資金繰りができる
売掛金はすでに発生している『売上』であり、取引先が倒産しなければ本来会社に入金されるお金です。それを先に現金化するというだけなので、売掛債権で資金調達した資金は借金ではありません。
▶赤字など会社の業績にとらわれずに資金調達ができる
ファクタリング会社が資金を提供する際にチェックするのは利用者(ファクタリング会社から資金を受け取る側)ではなく取引先(売掛先)の経営状況です。理由としては売掛金を支払うのは利用者ではなくあくまで取引先であるためです。そのため、『銀行に融資を断られた』というような場合でもファクタリングなら利用できる可能性があります。
▶保証人や担保が不要
ファクタリングは『貸付』ではなくあくまで『売掛債権の売却』であり、借入ではありません。そのため、保証人や担保は必要なく、万が一これらが必要な契約の場合は法律的に、ファクタリングではなく『借入』扱いになる可能性があります。
▶回収不能になっても返金義務が生じない
ファクタリングは『償還請求権』がない契約です。すでに『売掛債権を売却』しているということは回収できないリスクまで利用者からファクタリング会社が買い取っているという意味になります。そのため、債券を売却した時点で、万が一取引先が倒産するなどして売掛金の回収が不能になった場合でも、利用する側の会社が返済する必要はありません。
【ファクタリングのデメリット】
- 他の資金調達手段と比べて手数料が高い
- 債権譲渡登記が必要な場合がある
- 売掛先の企業の承諾が必要な場合もある
▶他の資金調達手段と比べて手数料が高い
ファクタリングの手数料の相場は2社間ファクタリングで8%~18%、3社間ファクタリングで2%~9%程度です。銀行の融資の場合は金利は2%~9%、日本政策金融公庫の金利は1%~3%ですので、ファクタリングは他の資金調達方法と比較すると割高と言えるでしょう。
▶債権譲渡登記が必要な場合がある
ファクタリング利用時に契約条件として『債権譲渡登記』を求められることがあります。これは債権を譲渡したことを法務局に申請し、債券の権利者を公示する制度で、数万円の費用がかかることと、他社に債権譲渡をしたことを知られるリスクがあります。
▶売掛先の企業の承諾が必要な場合もある
2社間の場合承諾は不要ですが、3社間の場合取引先の企業(売掛先)に通知や承諾を得る必要が出てきます。承諾を得ることが出来ない場合は3社間ファクタリングを利用することができません。
【まとめ】
ファクタリングはメリットが多く、速やかな資金調達が可能ではあるものの、デメリットも正しく理解しておく必要があります。今回紹介したメリット・デメリットを参考に複数のファクタリング会社を比較し、サービスの利用を検討してみてください。