ファクタリングを利用 契約までの実際の流れと注意点を解説

金融機関の融資よりも手軽かつスピーディーな資金調達方法として話題のファクタリング。一方で法律の規制が緩く、どんな企業でも参入できてしまうことから、悪徳業者なども混在しており、利用することに不安を感じる経営者も少なくないのではないでしょうか。今回はファクタリング契約における基本的な流れ、必要書類、契約書のチェックポイント、契約時の注意点などについて解説していきます。

【ファクタリングの契約 一般的な流れ】

①事前相談をする

保有している売掛債権の買取に応じてもらえるかどうか、ある程度の見積もりを知るために事前相談を利用しましょう。基本的に無料で行えるため、この時点で複数のファクタリング会社に見積もりを依頼しましょう。複数を比較検討することで、どの会社が自社と条件が一番合うかを判断することができるでしょう。また、3社間ファクタリングの利用を検討している場合はこの時に流れなどを確認しておくことも大切です。

②申し込み

事前相談で入手した情報をもとに、自社と相性の良いファクタリング会社を選びます。申し込み方法には『オンライン、電話、窓口、郵送』があり、一番スピーディーに現金化が進むのはオンラインです。担当者と細かいことを相談しながら進めたい場合はそれ以外の方法がオススメです。ただし、営業時間内に手続きを済ませる必要があったり、書類などを送るのに時間を要する場合があり、オンラインと比較すると現金化までにやや時間を要します。

③必要書類の提出

申し込みが済んだら、必要書類を準備します。

  • 法人登記簿謄本→会社が実在しているかの証明
  • 印鑑証明書→契約書に押印する印鑑の証明
  • 身分証明書→代表者の身分の証明
  • 決算内容確認書類→2~3期分の決算書を用意し、経営状況を証明
  • 売掛金証明書類→売掛債権の証明
  • 通帳などの入金確認書類→売掛先との取引関係の証明

業者によってはこれ以外の書類の提出を求められる場合もあります。スムーズに手続きを進めるために、事前相談の際に確認しておくのが良いでしょう。

④審査

提出した書類をもとにファクタリング会社が審査を行います。ヒアリング審査は事業内容や取引状況についてなど書類だけでは確認できない部分について行われます。

⑤契約の締結

締結の際は、契約書の内容を隅々まで確認、理解した上で双方の納得のいく内容にしましょう。この際、専門用語などを並びたてわかりづらい説明をしたり、契約書の作成及び控えの作成を省略しようとする業者には注意しましょう。

【契約書のチェックポイント】

▶譲渡対象の債権

『どの商品について、どの期間での売掛金について、売掛金がいくらかについて』これらの誤りは、後々大きなトラブルになります。細かい数字や日時、サービス名などまでしっかりと確認をしましょう。

▶償還請求権

本来ファクタリング契約の場合『償還請求権はなし』となります。しかし、悪徳業者の場合書類上、『償還請求権あり』となっている場合があるので注意が必要です。

▶手数料

2社間、3社間で手数料は異なります。相場とかけ慣れすぎていないか確認しましょう。また、手数料以外に諸経費が発生する場合があるのか、いくら何に対して発生するのかなども確認をしましょう。

▶債権譲渡通知

売掛金の回収先を業者(ファクタリング会社)に譲渡した有無を伝える通知。2社間の場合、自社で売掛金の回収を行い、その後ファクタリング会社に入金するため、『債権譲渡通知なし』となります。3社間の場合は『債権譲渡通知あり』です。

▶債権譲渡登記

債権譲渡が行われたことを証明する登記。2社間ファクタリングの場合に多く、登記のために場合によっては数万円程度費用が掛かる場合があります。

▶担保・保証人の有無

これらはファクタリングの場合は必要ありません。必要とされる場合は『借入(借金)』となる場合があるので注意が必要です。

▶報告義務

自社(利用者)がファクタリング会社に向けて、取引先(売掛先)の状況を報告するという義務。取引先に不穏な動きがあることを知っていたにも関わらず、報告を怠った場合は損害賠償などを求められる場合があるので注意しましょう。

▶損害賠償・違約金

契約書に明記されている義務を果たさなかった場合に、損害賠償や違約金が発生するという内容。義務とみなされる範囲が広すぎたり、金額が多すぎて明らかにこちら側が不利になる場合には契約内容について見直しを求めることも必要となります。必ず条件などを確認し、あまりにも不利な場合には契約解除も視野に入れましょう。

▶契約解除

どのようなケースで契約解除となるかの確認。

▶契約期間・解除方法

自動更新かどうかの有無の確認。

【契約を結ぶ際の注意点】

▶手数料が相場と同等か、それ以外の費用がかからないか

ファクタリングの手数料は一律ではなく、契約内容・金額・取引先(売掛先)の信用力などによって異なります。そのため、同じ条件で複数の会社に見積もりを依頼し、相場を確かめる方法がおすすめです。手数料が安すぎる場合も諸経費などでお金がかかってしまう場合があるので、それらの有無の確認も必要です。

▶不本意な契約期間になっていないか

ファクタリングの契約は単発のものもあれば、複数月に渡って行うものもあります。『半年間は契約継続の必要がある』など利用者にとって不本意な契約期間を提示される場合や『契約期間中の解除ができない』などの場合、悪徳業者の可能性もあるので注意しましょう。

▶契約書の控えをもらえるか

通常、関わった会社にそれぞれ契約書類、もしくはその控えを渡しますが、悪徳業者の場合は渡してもらえないこともあります。その場合は契約に違法性がある場合もあるので、後々のトラブルを防ぐためにも、契約そのものを取りやめることが必要になるでしょう。

【締結後にやるべきこと】

契約完了後も契約内容によって多少変動はありますが、やらなければならないことがいくつかあります。

  • 入金が確かにされているか
  • 債権譲渡登記を抹消する

契約が完了したら、契約通りの期日に契約通りの金額が入金されているか確認をします。ファクタリングの場合、分割払いはできません。必ず一括で振り込まれているか確認しましょう。また、債権譲渡登記を実施した際は、取引終了後に必ず債権譲渡登記の抹消を行いましょう。別のファクタリング会社を利用した際に2重譲渡になる可能性があります。

【まとめ】

契約締結の際は、後々のトラブルを避けるため、契約書の内容を今回紹介したチェックポイントをもとに隅々まで確認しましょう。ファクタリング会社に売掛金の入金が済み、その後の債権譲渡登記を抹消するまでがファクタリングです。契約できたからと言って、油断し、その後の手続きなどを忘れないように気を付けましょう。