ファクタリングの仕組みと種類 最適な資金繰りとは

ファクタリングとは企業が持つ『売掛金(売掛債権)』をファクタリング会社に買い取ってもらうことで本来の売掛金の支払期日より前に現金化することができるサービスのことです。手数料はかかるものの、金融機関よりも審査などが簡単でスピーディーに資金調達ができることが魅力です。今回はファクタリングを利用する際に、どのサービスを利用したらよいかの参考になるように、仕組みや種類について解説していきます。

【ファクタリングの仕組み】

ファクタリングの契約方法は2種類あります。

▶2社間ファクタリング

2社間ファクタリング

自社

ファクタリング会社

の2社間で契約を行います。そのため、取引先(売掛先)の承諾を得る必要はなく、取引もスムーズに進みます。この契約の場合、ファクタリング会社の売掛金未回収リスクが高いため、手数料も他の資金調達方法と比較してやや高くなります。

▶3社間ファクタリング

3社間ファクタリング

自社

ファクタリング

会社取引先(売掛先)

の3社間で契約を行います。取引先(売掛先)の承諾を得る必要があるため、2社間と比較すると資金調達までにやや時間を要する場合があります。この契約の場合は取引先(売掛先)から入金期日にファクタリング会社に直接売掛金が支払われるため、未回収リスクが低く、手数料も2社間と比べると安くなります。

【ファクタリングの種類】

ファクタリングは大きく分けて『買取型ファクタリング』『保証型ファクタリング』の2種類があります。『買取型ファクタリング』は売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、現金化することを目的としたサービスであり、『保証型ファクタリング』は売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで売上が未回収になるリスクを保証するといったサービスです。

【『買取型』ファクタリング】

買取型ファクタリングは以下の4つの種類があります。

①買取ファクタリング
②診療報酬・介護報酬ファクタリング
③注文書ファクタリング
④一括ファクタリング

それぞれについて解説していきます。

①買取ファクタリング

一般的にファクタリングと呼ばれているものはこの『買取ファクタリング』のことを指します。基本的に償還請求権なしで売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうため、売掛金が未回収となった場合も返還する義務はなく、借金を増やすことなく資金調達が可能です。

②診療報酬・介護報酬ファクタリング

医療機関・介護施設などが保有する『診療報酬債権もしくは介護報酬債権』をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化するサービスです。診療報酬や介護報酬は国民健康保険団体連合や社会保険診療報酬支払基金などに請求し入金される仕組みですが、請求から受け取りまで一般的に50日ほどかかるとされています。ファクタリングを利用すればその期間を待たずに資金調達が可能です。

③注文書ファクタリング

注文書ファクタリングは注文書(将来債権)をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化するサービスです。このファクタリングの大きな特徴は『取引が成立した時点で現金化できる』ということ。かなり早い段階で資金調達ができるのが最大のメリットですが、提供しているファクタリング会社が少なく利用しにくいのが現状です。また、売掛金が支払われるまでの期間が長ければ長いほど手数料が高いなる可能性があります。

④一括ファクタリング

一括ファクタリングとは買取ファクタリングに加えて、決済業務を一括で引き受けるサービスのことです。一般的なファクタリングとは違い、取引先(売掛先)が利用するかどうかを決めます。

【『保証型』ファクタリング】

①保証ファクタリング
②国際ファクタリング

それぞれについて解説していきます。

①保証ファクタリング

保証ファクタリングとは取引先(売掛先)の倒産などで売掛金が回収できなくなるリスクに備えて売掛金の回収を保証してもらうサービスのことです。ファクタリング会社に保証料を支払うことで売掛金に保証をかけることができます。売掛金の回収が滞りなく行われた場合、支払った保証料は戻ってこないため、保証をかける売掛金は慎重に選ぶ必要があります。

②国際ファクタリング

海外企業との取引による売掛未回収リスクを軽減するサービスが『保証型ファクタリングの中の国際ファクタリング』です。貿易取引では輸出貿易保険を利用する方法もありますが、手続きなどが複雑であり、時間を要します。国際ファクタリングでは、ファクタリング会社が信用調査などを行ってくれるため、手間をかけずに未回収リスクを軽減することが可能です。

【自社にとって最適な資金繰りを】

一般的にファクタリングというと『買取り』の方を指すことが多いですが、取引先の経営状況に不安を感じる場合、取引先が多すぎてリスク管理ができない場合などは『保証型』のファクタリングを利用するのも会社を守るための一つの手段です。ファクタリングの仕組みや種類を正しく理解することで、信用取引や海外取引などにおけるリスクヘッジが可能となります。上手に活用して、経営基盤の強化に繋げましょう。