ファクタリングのリスクや注意点、回避方法まとめ

『即日現金化が可能』『審査基準が緩い』『取引先に知られずに資金調達ができる』といった多くのメリットを持つファクタリング。一方で一定のデメリットやリスクもあります、今回はファクタリングを利用する際に考えられるリスク、それらの回避方法について解説していこうと思います。

【ファクタリングの主なリスク】

▶手数料リスク

ファクタリングの手数料の相場は『2社間ファクタリングで8%~18%』『3社間ファクタリングで2%~9%』。しかし、法律で規制がされていないため、手数料はファクタリング会社が自由に設定することができ、業者によってはかなり高い手数料を取る所も存在します。ファクタリングの手数料は『利用債権の額』『取引先(売掛先)の信用力』『ファクタリングの利用期間』によって変わってくるため、複数のファクタリング会社から同じ条件で見積もりを取り、その時の取引の相場観を見極める必要があるでしょう。

▶取引先(売掛先)に知られ、関係が悪化する

2社間ファクタリングの場合は通常取引先にファクタリングを利用していることを知られないようになっていますが、債権譲渡登記を偶然見られてしまった、共通の取引先がファクタリングを利用している事実を伝えてしまったなどから知られてしまうリスクはゼロとは言えません。ファクタリングは取引先によっては『経営が上手くいってないのかな』などというような悪い印象を与えてしまい、最悪の場合、取引自体に影響を及ぼす可能性もあります。『取引先に知られたらどうなるか』『万が一知られた場合の対処方法』についてはあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

▶売掛金の支払いが必要になる

契約時に『償還請求権あり』のリコース契約を結んでしまった場合、売掛金の未回収リスクを申し込み企業が負担することになり、取引先の倒産などにより売掛金を回収できなくても、それらを返済する義務が生じます。

▶悪徳業者が紛れ込んでいる可能性

ファクタリングを取り締まる法律は少なく、悪徳業者(ファクタリング会社を装った闇金など)が存在しているのも事実です。ファクタリングだと思って利用したにも関わらず、実は『貸付契約を結んでいた』となる場合があり、万が一気づかずに契約を締結してしまった場合、受取金額が著しく低くなってしまう可能性が高いため、注意が必要となります。

▶サービス選択を誤ってしまう

ファクタリングには『債権の売買により早期に現金を得る』『債権を担保に取引先の不祥事により売掛金が回収できなくなった際に保証してもらう』というような2種類のサービスがあり、利用目的や意図が全く違います。すぐに現金が必要なのに、後者のサービスを契約してしまう…など間違えて契約してしまう可能性もあるので、ファクタリングの種類については予め確認しておくことをおすすめします。

▶さらなる財務状況の悪化

ファクタリングはスピーディーに資金調達ができますが、一方で本来入金されるはずの金額が手数料によって減ってしまうのも事実です。そのため、反復継続するような利用方法は逆に財務状況の悪化を招く恐れがあります。利用する際は本当に必要なのか熟考し、しっかりとした資金改善計画・キャッシュフロー管理計画を立てた上で利用しましょう。

【ファクタリングのリスクの回避方法】

①複数のファクタリング会社に見積もりを依頼する

同じ条件でファクタリングを利用する際の相場観や手数料が安いファクタリング会社を見つけるのに良い手段となるでしょう。また比較する際は手数料以外の諸経費などが他にかからないかも確認しておくことが大切です。

②債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ

債権譲渡登記をすると取引先にバレるリスクが高くなるとともに、それらの手続きにも経費がかかります。絶対に取引先にバレずに契約を進めたい場合は『債権譲渡登記不要』のファクタリング会社を利用するのがおすすめです。

③経営が安定している取引先を選ぶ

ファクタリング会社が契約時に重要視するのは『契約者の取引先の会社の信用力』です。また、その信用力が高ければ高いほど、ファクタリング会社が資金回収をできる確率も高まるため、利用手数料が安くなる傾向にあります。そのため、取引先を選ぶ際はできるだけ経営状態が安定している会社を選ぶのがよいでしょう。

④ファクタリング会社と契約する際にノンリコース契約(償還請求権なし)であるか確認をする

本来、ファクタリング会社はノンリコース契約であり、取引先(売掛先)が倒産して資金を回収できなかったとしても、利用者側にそれを返済する義務は生じません。しかし、契約書にリコール契約と記載されていた場合、利用者は返済する義務を負う必要が出てきます。それらの契約内容については後々のトラブルを防ぐため、しっかりと確認しましょう。

【ファクタリングを上手く活用するために】

契約書のチェックはビジネスの基本。ファクタリング契約時には最低でも『譲渡する対象債権に誤りがないか』『債権譲渡通知や登記の有無』『償還請求の有無』『手数料や負担する費用について』『報告義務』『契約期間』『損害賠償や違約金の定め』『解除条項』についてしっかりと確認しましょう。また、少しでも怪しいと感じたら契約を中止し、他のファクタリング会社に変更するようにしてください。ファクタリングを規制する法律は現在、民法のみであり、なにかトラブルが発生しても利用者側を守ることは非常に難しい状況にあります。『自分の身は自分で守る』という意識をしっかり持ち、怪しい契約は絶対にしない・信頼できるファクタリング会社を選ぶように心がけましょう。