スピーディーに資金調達ができると話題のファクタリングと他の資金調達方法とは審査など資金を手に入れるまでの過程がやや異なります。そもそもファクタリングとは、『売掛債権』をファクタリング会社に売却することで、その対価として現金を得るシステムです。今回は他にも複数ある資金調達方法との違いを解説していこうと思います。
【ファクタリングのしくみとは】
ファクタリングとは一般的に『買取ファクタリング』のことを指します。自社がサービスを提供した際に取引先から受け取る『売掛金(売り上げ)』を貰う権利である『売掛債権』をファクタリン会社に売却することで、売掛金の支払期日前に現金化し、早期の資金調達が可能になるサービスのことです。他の資金調達方法と比較して、現金化のスピードが桁違いに早く、赤字経営の企業であってもサービスを受けられる可能性が高いこと、基本的に償還請求権がなく、取引先が倒産した場合などの売上未回収リスクを負わなくてよいことなどが最大の魅力です。ただし、融資などと比較すると手数料は高い傾向にあります。
【他の資金調達方法と比較】
他の資金調達方法は
・金融機関の融資
・銀行以外の金融会社のビジネスローン
・固定資産の売却
・ＡＢＬ
・一括信頼信託
・でんさい
などがあります。ここからは他の資金調達方法とファクタリングの違いについて解説します。
▶金融機関の融資
金融機関からの融資は最もオーソドックスな資金調達方法です。ファクタリングと比較すると金利も低く、資金繰りに悩む中小企業へのバックアップ体制などもしっかりしていることから、多くの企業が利用しています。しかし、融資を受けるにはかなり厳しい審査があり、その審査には時間を要すること、必ずしも審査が通るわけではないこと、融資は借入であることなどからややハードルが高いのが難点と言えます。審査が完了するまで待つことができる時間的ゆとりがある場合は金融機関からの融資の方が金利が低くおすすめですが、どうしても数日以内に現金が必要である場合やすでに税金滞納があるなど明らかに審査をクリアできなそうな状況にある場合は融資を選択しに入れず、ファクタリング会社を探すのが良いでしょう。
▶銀行以外の金融会社のビジネスローン
銀行以外の金融会社とは『クレジットカード会社』『消費者金融』『信販会社』などのことをいいます。これらの会社が提供している事業資金専用のローンのことをビジネスローンといい、融資などと比較してファクタリングと同様手数料が高い傾向にあり、『借入契約』であることから、返済義務も生じます。また、貸し手側の金融会社は『完済できるか』を重要視するため、ファクタリングと比較すると銀行の融資ほどではないものの、現金化するまでにやや時間がかかります。これらの点を踏まえると、『スピーディーに資金調達ができる』『審査のハードルが低い』『返済義務がない』ことなどからファクタリングでの資金調達の方が利用しやすいと言えるでしょう。
▶固定資産の売却
手放しても差し支えない固定資産がある場合は、それらの売却によって資金調達をする方法があります。しかし、売りたいからと言ってすぐに売れるものではないため、現金化までに時間を要するケースがほとんどだと言えるでしょう。そのため、すぐに現金が必要な場合は迷わずファクタリングを利用するのが良いでしょう。
▶ＡＢＬ
ABLとは売掛債権を担保にした融資のことです。売掛金に限らず、保有する商品在庫や原料といった流動性のある資産を担保に融資を受けることが出来ます。融資であることが大きな違いですが、その他にも『自社の信用力が重要である』ことからファクタリングを利用するよりもハードルが高いと言えます。
▶一括信頼信託
しくみとしては3社間ファクタリングと同様ですが、自社と取引先(売掛先)の間に入るのがファクタリング会社ではなく、銀行となります。また、償還請求権が発生したり、審査が厳しかったり、現金化までに時間を要したりするため、ファクタリングよりも手数料は低い傾向にあるにせよ、すぐに現金化が必要な場合は利用するのは難しいと言えるでしょう。
▶でんさい
でんさいとは『電子記録債権』を担保にした融資のことです。取引先が売掛金(売上)の支払いをでんさいで行うと自社はその債権を保有することができ、それを担保として融資を受けることができます。でんさいを利用するには双方が金融機関ででんさいを利用できる条件を満たしているなど前もって準備が必要となります。通常の融資よりも審査が甘いこと、オンライン上で手続きができることなど利便性の高さから資金調達方法として広く利用されていますが、融資であるため、返済義務が生じます。金融機関が窓口であるなど信用力といった面では、ファクタリングよりも安心して利用できる一方、やはり現金化のスピード力で言えばファクタリングの方が有利と言えるでしょう。
【ファクタリングによる資金調達の現状】
数年前までは資金調達といえば銀行の融資でしたが、『業績や信用情報に問題があり審査を通過できない』『支払い期日が迫っていて審査を待っていられない』などの理由から中小企業によるファクタリングでの資金調達は増加傾向にあります。また2020年には債権法の改正もあり、ファクタリングを活用した資金調達のハードルがぐっと下がりました。一方で、法律の規制がまだまだ緩い部分もあり、悪徳業者が紛れているという現状もあります。『優良なファクタリング会社を見抜く』『無理のない頻度・金額で利用する』といったポイントを徹底して守れば、ファクタリングは自社にとってとても有効な資金調達の手段になると言えるでしょう。