でんさいとファクタリングの違いとは?

会社を運営する上で必要不可欠なのが『資金繰り』であり、日本の中小企業においては、社旗情勢の風当たりにより資金繰りが悪化している所が数多く存在します。これらの問題を解決する糸口としてここ数年、国も推奨しているのがでんさいやファクタリング。でんさいもファクタリングも売掛金の支払い期限前の債権を譲渡し現金化する資金調達方法です。今回はでんさいとファクタリングの違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

【でんさいとは?ファクタリングとは?】

▶でんさいとは

電子記録債権の省略名称のこと。従来の手形や売掛債権を電子化し、オンライン上で取引できる新たなサービスです。従来の取引では盗難や紛失、郵送の手間などが課題でしたが、債券を電子化してオンライン上で管理することで、金融機関の専用システムにアクセスするだけで譲渡や決済といった取引ができるようになりました。

▶ファクタリングとは

ファクタリングとは『売掛債権』をファクタリング会社に売却することにより売掛支払期日前に資金調達するサービスのこと。自社の経営状態に左右されず、審査も簡単。また売掛金の回収ができない場合にも支払い義務が発生しないので、返済リスクを背負うことなく資金調達ができます

【でんさいとファクタリングの違い】

▶手数料の違い

でんさいの場合、手数料はおよそ1.5%~5%ほど。一方、ファクタリングはサービス内容によっても異なりますが、およそ5~20%程度の手数料が発生します。

▶運営元の違い

でんさいは全国銀行協会が100%出資して設立した『株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)』が運営しており、基本的には金融機関が窓口となります。また、どの金融機関で手続きしても書式が統一されているため、利便性にも優れています。一方、ファクタリングは、運営会社がまちまちであり、法的な規制も緩いため様々な会社がサービスを提供しています。中には闇金などがファクタリング会社をうたって、法外な手数料で貸付をしていることもあるため、契約時には注意が必要です。

▶契約締結の違い

でんさいの場合は初回にでんさいネットに登録すれば、次回以降共通口座さえあれば、新たに口座を作るなどの手間がかかりません。一方、ファクタリングは契約のたびに手続きが必要となります。でんさいと比較すると手続き自体は簡略化されていますが、取引先が多い場合などはどうしても手間となってしまうでしょう。

▶償還請求権の有無

償還請求権とは『貸し出した資金の回収ができない場合に貸し出し機関が利用者に対して返金を請求できる権利のこと』です。でんさいの譲渡は『償還請求権アリ』の契約となっているため、取引先(売掛先)が万が一倒産した場合には利用した側が返済義務を負う形となり、思わぬ形で負債を抱えたり、倒産の危機に陥る可能性があります。一方、ファクタリングは『償還請求権ナシ』の契約となっています。その為、取引先(売掛先)が万が一倒産した場合にも利用した側は返済義務がなく、貸し倒れリスクを防ぐことができます。まれに、ファクタリング会社と謳っているにも関わらず、契約内容が『償還請求権アリ』となっている場合があります。その場合、それはファクタリングではなく『貸付』となるので、手数料などが法律に引っかかるケースが出てきます。契約の際は必ず、『償還請求権の有無』を確認するようにしましょう。

▶取引先への通知の違い

でんさいの場合は、譲渡の都度、でんさいネットに記録が残り、取引先にも通知がいくため、資金調達していることがバレてしまいます。一方、ファクタリングでは手数料は高くなりますが、『2社間ファクタリング』であれば基本的に取引先に資金調達をしていることがバレることはありません。

【どんな時に利用すべき?】

▶でんさい

  • 手数料を押さえたい
  • 事務手続きを簡略化させたい
  • 信頼できる金融機関を窓口にしたい

最初の審査はやや時間がかかるものの、手数料を押さえつつ、安心・信頼してサービスを使いたい場合はでんさいを利用するのが良いでしょう。

▶ファクタリング

  • 急いで現金化が必要
  • 自社の経営が悪化しているが、資金繰りをしたい
  • 未回収の場合のリスクを取り除きたい
  • 簡単な審査で現金調達をしたい
  • 担保や保証人がいない
  • 取引先に売掛債権の売買について知られたくない

手軽かつどんな会社であっても比較的簡単、スピーディーに資金調達が可能となるのがファクタリング。ただし、1件ごとに手数料が高かったり、悪徳業者が混ざっているので、本当に必要な時に複数の業者を比較検討し選ぶ必要があります。

【まとめ】

支払期日前に売上を現金化したい場合、ファクタリングとでんさいという2つのサービスを利用する方法が一般的です。ファクタリングはファクタリング会社が窓口。でんさいは金融機関が窓口となります。ファクタリングは手数料が高い分、審査が簡単だったり、未回収リスクをファクタリング会社が背負ってくれるというメリットがあり、でんさいは審査が厳しい分、でんさいネットに登録さえできればその後の利用はスムーズであったり、手数料がファクタリングに比べて安いというメリットがあります。それぞれの違いをよく理解し、自社の現状に一番適した資金調達方法を選びましょう。